Terror Twilight
お久しぶりでございます。
キロネックスでございます。
2ヶ月ぶりのブログとなります。
はっきり言って最近エロ漫画しか読んでいないのでその記事を書こうと思いましたが
無理でした。
やはり。愛が深すぎて。
ワニマガジン社さん、誠に申し訳ございませんでした。
ですので今回は全然違う話をします。
僕が最も好きなバンド
というと言い過ぎな気もするので最も影響を受けたバンドPavement
の5th Aubum 『Terror Twilight』のデラックス版が気づいたら発売されました。
2020年に再結成するとかいう話もでてましたがコロナのせいで全然覚えてなかったし
本当突然のことだったので驚きました。
というか今更情報が出てくるとは思いませんでした。
私にとってPavementは東方、艦これ、もこうなんかよりずっとオワコン
てか知った時点で既に終わっていたコンテンツだったので(一瞬再結成して来日してましたが)兎角にこの情報が出たとき嬉しかったです。
Pavementについては以前ブログでも書いたことがあるので下記にリンクを貼っておくので別に読んでも読まなくてもいいです。
話を戻してPavementの5th Album 『Terror Twilight』 は彼らが1999年に発表したバンドとしてのフルアルバムとしては最後のアルバムです。「6人目のRadiohead」と言われるナイジェル・ゴッドリッチがプロデュースしたアルバムでもあります。
Pavementは初期は破壊的なノイズの中に独特なポップメロディを取り入れることが特徴的なバンドでしたが、後期はだいぶノイジーなサウンドは抑えられて(当社比)どことなくポップで哀愁があるメロディ、空間系サウンドやアルペジオを中心として異常に曲が良いポップロックバンドとして推移していきました。
Terror Twilightは彼らのキャリアとして最後のアルバムなので最も円熟したメロディセンスとメロウな楽曲が聞けるアルバムです。
とても思い入れのあるアルバムで、私としては4th Album Brighten The Cornersの次に好きなアルバムです。Lo-Fiが好きという割にはあんまりLo-Fi期じゃないときのが好きというのがちょっとあれですが。
そんなバンド自体久しぶりの音沙汰なのとアルバム自体もとても好きなものなので、わざわざレコードとして買わせていただきました。
レコードプレイヤーもわざわざこのアルバムのために買い、レコード自体も¥15,000しました。
高松宮記念も負け、桜花賞も負け、ドバイワールドカップも負け、皐月賞ももちろん負けている私に取ってはとても痛い出費でしたがどうしても欲しいものでしたので購入しました。
買ったら買ったで良いものなのであまり後悔はありません。
DLsiteで金なさ過ぎて耳舐めASMR買えなくなっただけの話です。
ということで、少しレビュー的なものをしていきたいと思います。
・レビュー
まず4枚組です。
それぞれ話します。
・LP1
LP1はオリジナルアルバムの曲が、曲順が変わって入っています。ナイジェル・ゴッドリッチが最初提案したものの却下された曲順だそうです。
オリジナルアルバムは
- Spit On A Stranger
- Folk Jam
- You Are a Light
- Cream Of Gold
- Major Leagues
- Platform Blues
- Ann Don't Cry
- Billie
- Speak,See,Remember
- The Hexx
- Carrot Rope
という曲順ですがデラックス版は
- Platform Blues
- The Hexx
- You Are a Light
- Cream Of Gold
- Ann Don't Cry
- Billie
- Folk Jam
- Major Leagues
- Carrot Rope
- Shagbag ※
- Speak,See,Remember
- Spit On A Stranger
となっています。
曲順が変わっただけでなく、リマスター版だからかとても音が良いです。高い、上品な音がします偶に。Pavementなのに。本当にLo-Fiって感じはまるでしないアルバムですね。
1曲ずつ収録曲を振り返っていきます。
1.Platform Blues
このアルバムで1番アグレッシブで、ノイジーでやかましく、勢いがあり盛り上がる曲です。静と動がくっきり別れており、ハーモニカや狂ったようなギターのトレモロ、マルクマスの叫び声など初期Pavementを彷彿とする要素が多くあり余りそのような傾向がない曲が多いので、逆に目立ちます。
個人的にこのアルバムで一番好きな曲なのですが、アルバムの1発目って大体そのアルバムを印象づける曲になるので、異色なこの曲を頭に持ってくるのは意見が確かに別れるかも。そう思うとオリジナルアルバムのSpit On A Strangerの方があってるぽい感じもありますね。
2.The Hexx
超物悲しいマイナー調のフレーズからサビで一気にPavementぽく明るくなる感じは凄い安心感あります。
この曲聴いて思ったんですけど、ギターソロの音が飛んでもなく良くて、詰まった時の感じの音が絶妙でオリジナルアルバムの時ってこんな良い音だっけ?って凄い思いました。
3.You Are a Light
このバンドぽい浮遊感があってサビのボーカルがキャッチーで、耳に残る、ポップな歌。と思わせて2:52辺りから急にスライドと共にノイジーな音が紛れ込んでくる辺りがオルタナって感じがやっぱりしますよね。
4.Cream Of Gold
すごーーくサビのギターフレーズもボーカルラインも耳に残る歌。後半の2:33辺りからのギターの音もやっぱめっちゃ良いですね。ノイジーですけど、全く低音質って感じではなくどこか上品な感じがします。
5.Ann Don't Cry
アンドォントユークライ〜♪
ドォントユークライ〜♪
Toeic 200点でも聞き取れます。
最初から最後までメロウな曲。
2:23辺りのフレーズ、ちょっとNo Surprisesぽいですよね。
6.Billie
これもあんまこのアルバムっぽくない曲。2ndのCut Your HairとかGolden Soundzとかの方が雰囲気近いかも。
7.Fork Jam
ご機嫌な曲ですね。ご機嫌な曲。そしていいリフです。
London Callingのjimmy jazzみたいな。DoolittleのHere Comes Your Manみたいな。アルバムで1曲あるああいう感じのちょっと異質なやつ。そしてやっぱそういうのって耳に残るし良いですよね。
8.Major Leagues
このアルバムで連想する曲って感じの曲。ポップでメロウで、落ち着いててゆったりしてて最後には何処と無く郷愁が吹き荒ぶような。後期Pavementらしい素晴らしい曲。
9.Carrot Rope
何度この曲を聞いたことでしょう。オリジナルアルバムバージョンでは最後のナンバーのCarrot Ropeです。
正直Terror Twilightはオリジナルアルバム最初のSpit On A Strangerと最後のCarrot Rope、この2曲が本当にこのアルバムを象徴する名曲だと思います。
独特なワウを噛ませたイントロ、色んなメンバーとのもうヘロヘロな感じの声の兼ね合いで歌われ、飛び抜けてポップなサビとどこか郷愁を残す曲終わり
そして最早ほぼ意味の無い歌詞とMVは黄色いレインコートを来た男たちがよく分からない踊りをするだけ
こんな曲をアルバムの最後に持ってくるのも、そしてバンドのキャリアを締めくくる最後の曲にセレクトするのもこのバンドらしい感じがします。
本当にこの曲は好きで、聞く度に何か涙ぐみます。別に悲しい曲でもなんでもないんですがそれ程までにこの曲は郷愁を感じ、私たちを存在しない90's、その最後の時代の記憶に導いてくれます。
これは初めてこの曲を聞いた時に既に感じたものです。それがこのバンドのサウンドの不思議なところですね。
10.Shagbag
新収録曲。オリジナルアルバムにはない曲です。サンプラーのなんか本当に初めていじって遊んだ時みたいな音が永遠と続くような感じの短い曲です。
11.Speak,See,Remember
落ち着いててたまにこれクソ適当に弾いてんやろと思ったら耳に残るギターフレーズが急に出てまた気づいたら急に飛んでもなくノイジーな音が飛び交います。なかなかひねくれてる曲ですが、最後はなんかやっぱりしっとりとした終わり方です。
12.Spit On A Stranger
オリジナルアルバムの最初の曲。そしてデラックス版ではラストナンバーです。
このアルバムの中で、というかこのバンドの中で最もメロウで、美しく、幽玄なメロディの曲。
Carrot Ropeと並んでこの曲は本当にこの「Terror Twilight」の印象を決定づける曲だと思います。本来最後にしか持ってこなそうな曲をトップナンバーに持ってくるオリジナルアルバムの曲順は最初聞いた時本当に驚きました。
デラックス版では、最後にセレクトしてあるので、まあそうだよなって感じが凄いあります。
LP1の総評はこんな感じです。
全体的にノイジーなのもありますが音が格段に復刻前と比べるとよくなっている気がして、Lo-Fiという感じは殆どないですね。あと曲順が前半は初期時代の曲っぽくて後半になるにつれてどんどん静かでメロディ重視な曲が増えてるって感じがします。でもやっぱり自分はオリジナルアルバムの曲順の方が好きですね。Spit On A StrangerとCarrot Ropeの順番はそれ程私にとっては重要です。
・LP2
未収録曲5曲とマルクマスのDemoが入ってます。
段々書くの疲れてきたので、割愛しますがやっぱりノイジーというよりかはポップな曲が多いですね。
未収録曲はどれも普通にアルバムに入っててもなんも遜色ないぐらい素晴らしい曲です。
デモについては…
最近映画評論家の山田五郎のyoutubeチャンネルにハマってよく見てるんですが
そこで復刻版とか色んなバンド出るけどやっぱりデモはデモだから完成版の方が素晴らしいっていうような話をしてたのですが
もうその通りとしか思えないですね。間違いなくLP1に入ってる完成版のが良いです。
ただしLo-Fiって観点だとこっちのがそれっぽくて雰囲気あって良いですけどね。
・LP3
これもデモがいっぱい入ってます。LP2と話した内容が重複するので割愛。
・LP4
ライブバージョンが多数入っています、
Platform Bluesのライブバージョンはyoutubeとかでしか見たことがなかったのでそれが入ってるのが嬉しいですね。狂ったようなハーモニカとギターと絶叫担当のナスタノヴィッチの慟哭が乱舞している感じは聞いてて楽しいです。
それとCreedence Clearwater RevivalというロックバンドのSinister Purposeっていう曲のカバーが入ってます。
元々ブルースぽい曲ですが、歪みまくりすぎてノイズパンクみたいになってます。このデラックス版で一番やかましい曲はこれかもしれないです。結構元曲聞くと良いカバーですね。
ということで。
デラックス版はそんな感想でした。
他にもブックレットとか入ってたけど。
本当に自分にとっては完全にもう終わって何も無いバンドだと思っていたので、こういう風な作品が世に出るとは思いませんでした。嬉しいことです。
気づいたら来日も決定してたし、こんなに嬉しいことはありません。仕事クビになっても車に轢かれても見に行く予定です。
その精神性とか音楽性もそうですが…やはりこのバンドのサウンドは、Carrot Ropeのところでも言ったように強烈な郷愁を感じさせてくれます。
それは初めて聞いた時でもそうだったし、恐らく50年後もそうでしょう。
別に思い入れもないのに、特に物懐かしく思うところもないのに途轍も無く何かを思い、そして憂いたくなる…そんな独特な稀有な魅力がこのバンドの音にはあるような気がします。